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糖尿病教室

糖尿病の食 "テーラーメード食事療法" のすすめ

1.はじめに
2. 炭水化物制限食との出合い
3. 栄養素の代謝を考える
4. インスリンの働きと炭水化物制限食の関係は
5. 理にかなっている炭水化物制限食
6. 炭水化物制限食の考えに落とし穴はないのか
7. 炭水化物制限食の要点‐糖の代謝から脂肪酸の代謝への変換
8. 糖尿病食としての地中海食
9. 糖尿病食としてのエビデンス
10. おわりに


炭水化物制限食の考えに落とし穴はないのか

このように極端に炭水化物(糖質)を制限した場合、本当に私たちの体に害はないのでしょうか。 糖質は体にとって大切なエネルギー源です。しかし、先に説明しましたように、脂肪とたんぱく質がエネルギー源の代わりになることができます。

次の心配は、脳は栄養として糖をもっぱら利用しているので、炭水化物制限食は脳によくないのではないかという疑問です。
しかし、炭水化物制限食といっても、まったく糖質を取れなくなることではありません。糖はたんぱく質が分解されて生じるアミノ酸から肝臓でつくられますから、この疑問も心配する必要はありません。

では、インスリンの働きが必要な「同化」(エネルギーを蓄え、体の骨格を作る働き)の過程に、炭水化物制限食はどのように影響するでしょうか。糖からつくられるグリコーゲンは肝臓や筋肉に蓄えられ、運動などの活動に使われます。ですから、筋肉運動や体力の維持の運動でグリコーゲンが不足して支障をきたさないかと心配されるかもしれません。しかし、よほど激しい運動を空腹時に続けない限り大丈夫です。

最後の疑問は、この食事療法ですと摂取する脂肪やたんぱく質の量が増える可能性があり、太って、かえって糖尿病は悪くならないかということです。この疑問は私たちの体の代謝や食の根幹にかかわっています。膵臓のβ細胞からインスリンの分泌を刺激するのは糖質だけです。つまり、糖質を多く取り、食後の血糖が高くなるとそれだけインスリンの分泌が高まります。

このように血糖に応じてインスリンが分泌されることを「インスリン反応」と呼ぶと説明しましたが、インスリン反応が高まると血中に過剰にインスリンが分泌されるのです。過剰なインスリンは肥満をもたらします。

しかし、炭水化物制限食はインスリン反応をなだらかにしますから、インスリンは過剰にはなりません。その意味では、この食事は肥満をもたらさないと言っていいでしょう。要は、脂肪の取りすぎが肥満をもたらすわけです。しかし、日常の食事にたんぱく質や野菜をうまく組み合わせれば、まず脂肪を取りすぎることはありません。


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