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糖尿病教室

糖尿病と動脈硬化(後編)

1.はじめに
2. メタボリックシンドロームを早く見つけるには
3. 糖尿病の人はいくつかの動脈硬化危険因子を持っています
4. 血管合併症予防のポイント
5. 炭水化物(糖質)制限食の勧め
6. 習慣になった運動は糖尿病を予防し、良くします
7. 糖尿病を治す
8. 代謝(メタボリズム)のシステムに即して
9. 「色即是空」というバランス


糖尿病の人はいくつかの動脈硬化危険因子を持っています

メタボリックシンドロームを持つ人が糖尿病に進みやすいことは、すでに説明しました。
ですから、糖尿病の人はメタボリックシンドロームの「コンポーネント」(メタボリックシンドロームを構成するそれぞれの病態のこと)を複数持っている割合が高いことになります。

糖尿病の人は太っていて、血液中の中性脂肪が高く、善玉コレステロールが低く、血圧の高い人が多いからです。糖尿病になるとIGT(耐糖能障害)に比べてはるかに血糖値は高くなりますし、糖尿病の状態ではさらに中性脂肪が高くなり、インスリン抵抗性の程度が増してきます。また、インスリンが働きにくい状態では、血液中のインスリンが高くなる場合が多く、そのため水分がたまって血圧が高くなります。

さらに、メタボリックシンドロームになりやすい遺伝的な体質は、同時に、中性脂肪を高くしたり血圧を高くしたりすることも考えられます。

もちろん、他の動脈硬化危険因子を持たず、血糖値が高いだけの人もいます。このような人は、おしなべて肥満ではなく、食べ過ぎてもおられません。そして、インスリンの分泌は低く、目と腎臓の「細小血管症」を患っています。ひと昔前の糖尿病の人はこのようなタイプの糖尿病だったと記憶しています(このことが正しいかどうかは、多くの資料の分析が必要ですが)。

しかし、近年、メタボリックシンドロームを“下地”としたタイプの糖尿病の人が増えてきました。私たちの調査でもそれが裏付けられています。過去3年間、循環器病センター動脈硬化代謝内科に入院された糖尿病の患者さんを対象に調べると、肥満度を表すBMIの平均は25弱で、肥満の人が増えてきています。また中性脂肪が高く、善玉コレステロールが低い、そして血圧が高い状態を二つ以上持っている人の割合は実に75%になっています。

循環器病センターには狭心症、心筋梗塞、脳卒中、閉塞性動脈硬化症を起こした糖尿病の患者さんが多いため、割合が高くなっていると言えますが、私は都会での生活習慣を持つ方々を診療している一般の病院にもあてはまると考えています。むしろ、この調査結果は、糖尿病は動脈硬化の進行で起こる病気(動脈硬化性疾患)をもたらす重大な病気であることを、はっきりと示しています。

しかし、幸いにも多くの糖尿病の患者さんは血管合併症にはかかっていません。合併症を起こさないように注意し、予防することが大切です。


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