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糖尿病教室

糖尿病の食 "テーラーメード食事療法" のすすめ

1.はじめに
2. 炭水化物制限食との出合い
3. 栄養素の代謝を考える
4. インスリンの働きと炭水化物制限食の関係は
5. 理にかなっている炭水化物制限食
6. 炭水化物制限食の考えに落とし穴はないのか
7. 炭水化物制限食の要点‐糖の代謝から脂肪酸の代謝への変換
8. 糖尿病食としての地中海食
9. 糖尿病食としてのエビデンス
10. おわりに


インスリンの働きと炭水化物制限食の関係は

「1日の食事のカロリーを制限しなさい」。糖尿病の患者さんは糖尿病の食事療法について説明を受ける度に、カロリーという言葉を散々聞かされます。
定番の糖尿病の食事療法の原則は、前に説明しましたように、カロリーを控え、一定にし、栄養素の配分は、炭水化物が5割から6割を占めるように取り、脂肪を控えることでした。
では、カロリーとは何でしょうか。カロリーとは、人の活動に必要な体内でつくられるエネルギーのことです。ですから、もともとカロリーは、血糖や高血糖とはまったく別のことを意味しています。
では、インスリンの分泌や働きが低下している糖尿病の患者さんが「1日の食事のカロリー制限を」と教えられる理由はなんでしょうか?

ここでインスリンの働きを考えてみましょう。
インスリンは全体としてはエネルギーを蓄える方向に働きます。筋肉や脂肪組織では、糖を取り込み、筋肉運動に備えます。この働きが糖尿病になると障害されますから、血糖が高くなります。
脂肪組織では脂肪の分解を抑え、中性脂肪を蓄えるように働きます。また、肝臓では一部のアミノ酸から糖がつくられますが、この「糖新生」の過程を抑制し、つくられた糖が不必要な時に肝臓から放出されるのを監視しています。
糖尿病になると、この監視する力が落ち、血糖を高めます。長期にわたるインスリンの作用としては、アミノ酸からたんぱく質を合成し、核酸とDNA(デオキシリボ核酸)が合成されるようにします。このようにインスリンは「同化」(エネルギーを蓄え、体の骨格を作る働き)のホルモンです。

インスリンは多くの働きをしていますが、栄養素が燃えてエネルギーが産生される過程である代謝には、関係していません。
ですから、糖尿病の方がカロリー制限を勧められるのは、エネルギーの産生に支障があるからではなく、単に食べる量を控えることによって、食後の血糖の上昇を抑えることが目的のようです。
しかし、従来の糖尿病食では、約半分以上のカロリーを食後の血糖を上げる炭水化物で取るように教えられるわけですから、矛盾しています。


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