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糖尿病教室
糖尿病と動脈硬化(前編)
1.はじめに
2. 糖尿病になると血液中のブドウ糖(血糖)が高くなります
3. 糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病があります
4. 糖尿病の診断には空腹時の血糖と食後の血糖の両方が大切
5. 糖尿病の患者さんは増えています
6. 糖尿病は動脈硬化を進めます
7. 糖尿病の血管合併症としての細小血管症と大血管障害
8. 動脈硬化は糖尿病が軽い段階から進んでいます
9. 食後高血糖が動脈硬化を進めます
10. 内臓脂肪肥満が動脈硬化を進めます
11. 問題はメタボリックシンドローム
12. メタボリックシンドロームを持っている人は糖尿病と心筋梗塞のリスクが高い
糖尿病の診断には空腹時の血糖と食後の血糖の両方が大切
インスリンの分泌が低下したり、インスリンの働きが悪くなったりすると「空腹時の血糖」も「食後の血糖」も高くなってきます。
<図2> をご覧ください。朝食前の「空腹時血糖値」が110mg/dl未満が正常(型)、126mg/dl以上が糖尿病(型)です。糖尿病の検査では、75gのブ ドウ糖を飲んで、「2時間後の血糖値」(OGTT2時値)で判断します。負荷2時間後の血糖値が140mg/dl未満が正常(型)、200mg/dl以上 が糖尿病(型)です。
注意していただきたいのですが、正常と判断されるには「空腹時血糖値と2時間後血糖値の両方が基準値を満たす」ことが必要で、「どちらかの基準値を超えているとき」には糖尿病と判断されます。1日のうち採血の時間にかかわらず、200mg/dl以上であれば糖尿病です。
では、正常と糖尿病の間はどう考えたらいいでしょうか。<図2>からわかるように、「空腹時血糖値が110mg/dl以上126mg/dl未満の範囲」と「2時間後血糖値が140mg/dl以上200mg/dl未満の範囲」です。日本では、この二つの範囲を合わせて「境界型」と呼んでいます。
アメリカとヨーロッパではこの二つの範囲を区別しています。空腹時血糖値の正常と糖尿病(型)との間の範囲を「IFG(空腹時耐糖能障害)」、2時間後血 糖値の正常と糖尿病(型)との間の範囲を「IGT(負荷時耐糖能障害)」と呼んでいます。後に説明するように、境界型の中でも、IGTは糖尿病に移行しや すく、心血管病の発症のリスクが高くなることが知られています。この意味で、IGTは軽症段階の糖尿病であると言えます。