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糖尿病教室

『糖質制限食』 再考

1.糖質制限食の疫学(コホート研究)と臨床研究
2.糖質制限食の定義 ― 糖質をどこまで制限するか
3.糖質制限食の適応と制限


糖質制限食の定義 ― 糖質をどこまで制限するか

この問題を考える基準が必要です。私は、山田 悟先生とそのご本で示されている
バースタイン先生の論文に示されている定義を基準にしたいと考えます。
その論文の定義は「アメリカ糖尿病学会(ADA)は低炭水化物食(糖質制限食)を一日炭水化物(糖質)接摂取量130g以下または従来の2000kcal の26%以下と名付けており、
私たちのその数数値を妥当と考える。(a low-carbohydrate diet) 肥満が蔓延する前の炭水化物消費は平均43%なので、26%から43%までを中等度(おだやかな)炭水化物食と考える。(moderate-carbohydrate diets)(複数形になっているのは、糖質摂取量に幅あることを認めています。
また、この数値は2000kcalと想定してのものと考えておきます) 一日炭水化物(糖質)摂取量30g以下は超低炭水化物食と呼ばれるべきである。(a very low carbohydrate diet) 「ケトン食」という言葉は、てんかんの治療食を呼ぶために残しておけばよい」ですから、山田先生は広義の糖質制限食は一日の糖質摂取量が130g以下(一食40g以下)としています。
さらに厳しく糖質制限を行うアトキンス・ダイエットは、一日の糖質摂取量が50g以下(一食20g以下)ですから、狭義の糖質制限食とされています。
この厳しい糖質制限の下では、ケトン体産生が起こりますから、これ以下の糖質制限は避けるべきだとされています。 つまり、山田先生は「一食あたり20g以上40g以下の糖質量に制限する糖質制限食」を勧めておられます。

(糖質が解糖系とTCA回路を介して燃えてから、脂肪が燃えますから、糖質制限を厳しく行うと、脂肪酸が酸化されケトン体が産生されます。
しかし、どこまで糖質を制限すれば、糖尿病性ケトアシドーシスの時にみられる病的なケトン体産生につながるのか明確ではないと思います。)
江部先生の提唱されている糖質制限食はアトキンス・ダイエットの糖質制限からバースタイン先生の糖質制限まで幅があり、選択は患者さんに任せられているようです。
また、灰本先生もそのホームページに書かれていますが表現はやや異なっています。
一日糖質摂取量130g以下に制限しない方がよく、灰本クリニックの食事記録からは1日2食制限にほぼ一致しており妥当な数値と考えておられます。

この点、上に述べた山田先生の糖質制限食はやや厳しいと考えられます。
したがって、制限すべき糖質量に関して、少なくとも三つ意見があります。
アトキンス・ダイエットの制限量、山田先生のすすめる糖質制限量、そして灰本先生の一日130g以下にはしない。(この点は、2012年の日本糖尿病学会でも言及されています)(灰本先生のローカーボ研究会のホームページからはあまり明確ではないのですが、上のバーンスタイン先生の定義のなかの26%から43%のおだやかな糖質制限を想定されているようです。しかしこの数値も1日の摂取カロリーが設定されての議論ですから、
堂々巡りになりやはり糖質量を決めるのがいいと思います。)(参考のために、ウエストマン先生の総説では、1日に糖質摂取量を50gから150gと定義されています。
山田先生の提唱される量とオーバーラップしています。)

では、最も妥当な糖尿病食として制限される糖質の量はどのくらいなのでしょうか。
アトキンス・ダイエットや江部先生の言われる「スーパー糖質制限食」は行き過ぎがあります。したがって、山田先生が提唱されている糖質制限とそれよりおだやかな糖質制限が妥当と思います。しかし、どちらが糖質制限食としてすぐれているかは一概に答えは出そうにありません。それぞれに、高血糖の是正、脂質代謝の改善、体重減少に有効であるとする証拠が示されているからです。


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